オーストラリアの戦争報道

ロシア軍がキーウ郊外から撤退したことにより、その惨状がオープンになっています。

数日前まで、NSW州の洪水や、伝説的クリケット選手の急逝とそのお別れセレモニーなどが大きなニュースになっていたビクトリア。ウクライナの戦争も、もちろんそれなりに報道されていましたが、今回の惨状に関する報道は、その悲惨さと衝撃の大きさから、クローズアップ度合が大きいように感じます。

 

ウクライナの状況について、ABCニュースは、BBCのレポートを報道しています。

※ショッキングな映像が含まれますので、リンクを踏むときはご注意を。

www.bbc.com

 

オンラインでBBCを見たことがある方(BBC Japanもあるので、日本語でも視聴できます)は、遺体や壊れた車両、建物などが移っていますが、ご遺体など悲惨な部分はモザイクがかかっています。

ABCニュースも、同様に遺体には薄いモザイクがかかりますが(おそらくBBCの加工をそのまま使っている)、そこにbodyがあるんだな、ということはわかるぐらいのモザイクなので、子どもとニュースを見ると、「ママ、あれ何?」という話になります。負傷して流血している人(=生きている人)の映像は、モザイクなしで流れます。

 

戦争とご縁が深い国、アメリカのCNNなどにあっては、モザイク範囲はもっと小さくて、下手すると顔だけとか、プライベートゾーンだけだったり。

 

日本の戦争報道は、海外に比べると優しい…といわれていますが、確かにそうかも。NHKのモザイクはもっと濃くて範囲も大きめに感じますし、より衝撃度の大きい動画よりは、静止画を使うようにしているようにも見える。

 

人間って、本当に忘れがちな生き物で。歴史を紐解くことも、特に戦史や戦歴に関わるものは、精神的にかなりシンドイ作業。だからといって、綺麗なところだけ見て生きていけるほど人生も世界も甘くはない…。悲惨なものから遠ざかりすぎたり、あるいは、クリティカル・シンキング訓練を怠ると、危機に対して鈍くなってしまう部分は、あると思います。

 

Mellyは、広島の近くで生まれたので、義務教育期間中は、かつての広島の惨状がどうだったか、ということに関する戦争教育をかなり受けています。悲惨すぎて、目をそらしたら、先生から「ちゃんと見なさい」と注意されたものです(-_-;)。学校と関係ない、地域の野外映画イベントですら、夏休みの間は、普通のアニメとセットで、戦争教育用の映画を流してたくらいです。

 

たぶん、今は同じレベルでは戦争教育をしてないんじゃないのかな~と思ったりしますけど。強烈すぎるし、実際、センシティブな子どもには別のアプローチをすべきと思うのです。※Mellyは割と繊細な子どもだったので、先生に、精神的につらいと相談したこともある。スルーされて終わったけど。今思うとそれはそれで酷い。

 

そういう意味で、ABCニュースレベルの戦争報道なら、子どもと対話するいい機会になるぐらいの、適度な加工レベルと生っぽさかなあと思ったりもします。

※ただ、子どもって親が思う以上にナイーブな生き物なので(人生経験が少ないですから)、視聴にあたってはよく気を付けたほうがいいと思います。

 

ときどき、日本のテレビ報道を見ていると、beat around the bushで、その割に専門家でもなさそうな人がピーピーしゃべってって、「…で?」みたいなのが本当に多くて(-_-;)。いや、別にタレントの井戸端会議を見たいわけじゃないんですけど。

海外の報道を礼賛するつもりもないけど(海外だってピンキリなことに違いはない)、それにしたって幼稚臭いとは思う。それとも、ああいう形のエンタメなのか…?

 

人命のために降伏をと言ってた著名人がいましたけど、露軍撤退後のブチャの惨状を見て、それでも降伏をという気なんでしょうかね? とんでもねえ人間はいるし、想像を超えた価値観を持つ人間集団はある弁護士なら、そういう「人間社会のキッタナイところ」や「底知れなさ」は知ってると思うんですがね…。そういう人外に近いものに対して、法や言論といった理性で対峙するのが弁護士としても、なんでも法(=秩序)と言論でどうにかなると思っているなら、それこそ人間という生きものに対する傲慢とも思うけれど…。

 

ところで、オーストラリアの報道は、英語ですので、字幕はアルファベットです。だから、フォニックスを習った後のこどもなら、意味が分からなくても、字幕は自分で読めちゃうんですね。

 

たろう「ママ、Sex assultって何?」

 

みたいな感じで、テレビニュースのヘッドラインを読んだたろうが聞いてくることもよくあります。日本のニュースだと、漢字かな交じりなので、まず小さい子どもは読めません。

 

ニュースを端緒とした、大人と子どもの議論や対話は、必然的に多くなるなあと思う、豪州生活です。