豪州にて、親知らずを抜く

明日、パートナーが埋没親知らずを2本、抜きます。

 

実は、私も去年、最後の親知らず1本をこちらで抜きました。

 

豪州だと、歯科は公的保険診療でカバーされないため、非常に高額になります。なぜ、公的保険でカバーされないかというと、技術革新が速いため、よい技術を早く臨床に適用しようとすると、保険で全体最適を求めるのにそぐわない分野だから、だそう。

※プライベートの歯科保険はあります。

 

一度こちらの歯科を経験してしまいますと、日本の保険治療が、「安かろう、(ある意味で)悪かろう」の側面を持つことは否めなくなってしまいました。このあたり、歯医者さんによって考え方は変わると思うのですが。Mellyは、もとの歯が非常によくなく、銀歯だらけでした。豪州で、良い先生に出会い、良い歯科技術に救われ、歯の寿命がずいぶん延びたと、信じています。

 

さておき。豪州での抜歯の話。

 

 

専門医にかかる

かかりつけ歯医者から、口腔外科専門医へ紹介していただきました。

 

抜くのは下の親知らず。少しだけ顔を出していて、大部分が歯茎に埋まっていた上、下顎神経と根っこが近い感じでした。歯茎を切開し、砕きながら抜く、と説明を受けました。この時点で青ざめるMelly。以前日本で抜いた下の親知らず、歯は砕きましたが、歯肉切開まではしていない…。

 

「部分麻酔でもできなくはないけど、全身麻酔のほうが楽だとは思うよ」

 

と言われ、全身麻酔を決定。

一度に4本は当たり前

豪州の医療体制は、完全分業制です。専門医で抜歯するとなると、

  •  (必要な場合は)CT撮影医
  •  口腔外科専門医(執刀医)
  •  麻酔科医
  •  日帰り入院病院

それぞれ、別の管轄だったりします。なので、支払いも別! めんどくさ~。

支払期限も、請求方法もまちまちなので、いちいち電話して、「〇〇にオペ予定の××ですが…」って相談しないといけない。

 

しかも、豪州って、電話でクレジット決済できるのですが、カード番号・有効期限・CVC、全部、口頭で伝えるんですね(;´Д`)。これ、悪用されないわけ? ってめっちゃ心配になります。もう慣れたけど。

 

私の場合、たった1本抜くのに、全身麻酔で、総額$2800くらいかかりました…。

 

執刀医に払うお金は、抜く本数に応じて変わりますが、他にかかる費用は、すべて同じです。なので、1度に抜く本数が多いほどコスパがいいわけです。なので、こちらだと、一度に4本親知らず抜く人も全く珍しくありません。

楽すぎる 全身麻酔

生まれて初めての全身麻酔に怯え切って、早朝から日帰り病院に行きましたが。問診を済ませ、着替え、手術台に向かうストレッチャーにのったら、ノリノリのヤング麻酔科医がやってきて。

「へー、××ストリートに住んでるのね。僕も前住んでたよ。いいところだよね!」

と気楽な感じ。

 

こっちは、二度と目覚めぬ恐怖に怯え切り

「死んでしまいそうな気がする。全身麻酔とかやったことない。めちゃ緊張する」

と言ったら、

「必要なら、鎮静薬あるよ! 要りそう?」

と、ジュースでも飲む? ぐらいの勢いで聞いてくる。さすがにそこまではええか…と思ってましたら、導入薬を注射されました。

 

その後、オペ看と執刀医がきまして、

「ハーイ! きょうのナースの〇〇よ! よろしくね!」

と言い終わるかどうかの間に、先ほどのナイス麻酔科医が、

「じゃあ、眠くなるねー」

と麻酔薬導入。まさしくブラックアウトで、その後全く記憶なし。

 

「ハーイ、Melly、グッドモーニング」

目覚めたらすべてが終わってました。

 

日本で、あしかけ20年くらいで3本の親知らずを抜いてきた私。大なり小なり、術中の音とか衝撃に、ひたすら心を無にして耐えたあの3本からしたら、比べ物にならないくらい楽でした。

 

全身麻酔、苦痛が少ないという意味ではメリットが大きいのですが、2割程度の人には、術後の悪心が出たりすることもあるそうです。

 

ちなみに、豪州でもっとも年収の高い職業のひとつが、麻酔科医だったりします。

術後の経過

で、術後の経過ですが…。下あごの歯、かつ日本では主治医に抜くのを嫌がられた難しい歯だっただけに、絶対痛くなるだろうと思ったけど、これが言うほどなんともなく。鎮痛剤服用も初日の24時間だけ。ほとんど腫れもなかったですが、抜いたところのアゴが一週間ほど、青タンっぽく痣にはなってました。でもそれだけ。

 

なんて楽なんだ。抜歯の方法から違うのか? いろいろと考えてしまいました。

 

なにより、こっちの医療従事者の方って、お国柄もあって、基本、フレンドリーで明るいんですね。もう死にそう、とか、めっちゃ怖い、とか、痛いのヤダ、とか、好き放題言っても明るく受け止めてくれます。それだけで、患者はだいぶ気分が楽になるよね。