休職のpros and cons

ということで、ちょっとまとめてみようと思います。といっても個人的所感ですけど。

 

 

良かった点

【子どもの教育について考える時間が十分でき、フォローも十分できる】

休職した最大のメリットはこれではないかと思っています。

我が家は子どもが2歳・4歳で豪州に来ましたので、最も教育投資上コスパが良いと言われる年齢ではありました(第二言語習得には早すぎるけど、一般に幼児教育が最も教育効果が高いという話に基づくと)。

 

正直、コスパを基準にした議論は好きではないですが、親と一緒に何かをするのが楽しい年齢だし、まだまだ素直なので、子どもを「導きやすい」年齢ではあるとは思います。

 

たろうとはなこの得手不得手は何か、何が彼らのやる気のトリガーになるのか。どんな習い事をして、どのように英語や勉強に取り組んでいくのか。子どもに「時間をかけられる」というのは、専業家庭のいかんともしがたいメリットだな…と痛感しました。

ふたりとも、1歳になる前にサッサと保育園に預けてしまったので、ここで一回「自分の時間をこどもに投資する」というのは、大きな転機だった気がします。めっちゃ苦痛でしたけどね、最初はね…。

"ほっときゃ育つ"型の育児から、"それなりに目をかける"育児について考える機会になったのは、大きかったです。

 

【子どもの進路についての固定観念が崩れた】

パートナーも私も、純ジャパで、日式教育しか知りませんでした。いい学校→大きい会社、っていう、凡人にとっての王道失敗率低めルートを歩いてきていますし。海外で学ぶ、とか、働く…といったことは、「特別な誰かのため」のものであって、自分たちのものではないとずっと思っていた。豪州に来て、様々な方とお会いして、その点について見え方が変わったのはかなり大きなところです。レールは自分で敷くものであって、敷かれたものの上を走るものではないって、ようやくわかった。

一時停止していなかったら、中学受験して、難関大学目指して…っていう、昨今の流れに、思考停止で飲み込まれていた気がします。結果的に子どもがそれを選んだら別ですけど。親としては、もう少し多様な進路があるし、人生で何を重視しながら生きていこうかっていう話を、子どもとできる気がします。

 

【人生観が変わった】

大げさなようですが、これは確実にあります。休職のメリットか、海外移住のメリットか微妙なところですが、休職したからこそ考える時間はたくさんありました。

オーストラリアというお国柄、特に末端の人間の働き方や人生観は、日本人のそれとは大きく異なります。もちろん、労働者を巡る法制度が全く違うからというのはあるのですが、それでも、「いま、人生を楽しむ」ことの意味をつくづく考えました。

どうも、日本に住んでいると、先のことに頭を巡らせて、うっかりすると「今は我慢のとき」という時間が長くなってしまいがちで。とくに、ラテン国家出身の友人に言わせると、

「私たちは、このオプションがダメなら、次はこれ、それもダメならまたこれ、って感じで、しょっちゅう軌道修正しながら生きているのよね。あんまり先のことばっかり考えても、仕方なくない?」

バックアップのプランB以降に備えるのも大事だけど、自分の心のレジリエンスも信用して、いまあるチャンスを無駄にしてはいけないなと痛感しています。

 

きょうまでは一生懸命働いたから、明日からバケーションで電話も取らない。

稼いだお金は、ここまで投資用にして、あとは人生の楽しみに使う。

住む国は自分で選ぶ。

コミュニティを大事にし、友人・家族を大事にし、困った人には臆せず手を貸す。

 

オージーのNo worries文化には閉口することもあるのですが(笑)、まじめで、常に危機感にさらされてきた氷河期世代の日本人には、取り入れるべき要素も多いとは思っています。自分の人生のQOLを上げることを考えるほうがハッピーかなって思った。成功か・失敗か、で、己を評価し続けるのではなくて。

 

【今後のキャリアで目指したいものが明確になった】

幸いなことに、豪州で、素晴らしいコーチャーに出会うことができました。その方に相談する中で、キャリアコンセプト、というか、私が人生で何を成し遂げたいのか…をじっくり考えることができたこと。キャリア中断なく、自分の会社生活について深く考えることもなく、なんとなく会社生活を送っていたら、給与カットされ始める10年後(50代半ばくらい)ぐらいに、茫然としていたような気がするんですよね。

これもそのうち記事に上げたいと思います。

 

悪かった点

【ノーペイによる給与所得の損失】

これはもう避けがたいことで、年間〇〇円×3年と計算すると、いまでも時々めまいがします。そのうえ、社会保険料は継続して払わないといけない。

3年間、復職の意思を持ち続けるのだって、大変なこと。テレワークでできる仕事もずいぶん増えたし、国内・海外問わず、テレワークベースでキャリアを継続させるという選択肢が、もっと一般的になるといいなあと思っています。

 

【給与所得がないことによる精神的なしんどさ】

書くまでもない…。んですが、これは人によって温度差があるところだと思います。ただ、自己実現しながら、経済的にも自立する、っていうのは、働いてきた人にとっては重要な2軸だと思うので、その片方あるいは両方が一度に、(一時的にとはいえ)なくなるというのは、結構しんどいですよ。

 

【キャリアの中断】

Mellyは比較的専門性の高い仕事をしていたので、これについては非常に思うところがありました。育休・産休で1年弱休んでも、色々忘れるのに。ましてや3年。

もちろん、学校に通うなどの選択肢もあったのですが、海外で学校に通おうとすると、語学学校ならともかく、大学・大学院はかなり費用がかかります。自分の専門領域と、学ぼうとすることについて、どうやって費用対効果を最大化するか、という観点も必要になります。

このあたりについての七転八倒はまた記事に書きたいと思っています。

 

【会社というコミュニティからの断絶】

これは痛感したのですが、「ゆるいタテ社会の階層の中にいるからこそ、必要なサポートや助言が得られる」し、サポートや助言が得られるからこそ、帰属意識って出てくるものなんですね。

個人的には、帰属意識を見事に失った3年でした(笑)。